【実録・虐待防止】なぜ「部屋に鍵をかけること」が常態化したのか?南海学園の事例から学ぶ、組織の「正当化」の怖さ
【実録・虐待防止】なぜ「部屋に鍵をかけること」が常態化したのか?南海学園の事例から学ぶ、組織の「正当化」の怖さ
障害者虐待防止法が施行されてから10年以上が経過し、通報件数は年々増加しています。
これは「虐待が増えた」というよりも、「おかしいことはおかしい」と声を上げられる環境が整ってきた(法の浸透)と捉えるべきでしょう。
今回は、2014年に大きなニュースとなった高知県の障害者支援施設「南海学園」の事例を振り返り、なぜ虐待(身体拘束)が起きたのか、その背景にある「組織心理の罠」について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL74から抜粋して作成しています。
講師は、元独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の研究部長であり、特定非営利活動法人PDDサポートセンター グリーンフォーレストの理事長の志賀 利一(しが としかず)先生です。

事件の概要:70人近くが夜間施錠されていた
2014年3月、県への匿名通報により、ある事実が発覚しました。
施設に入所している利用者の居室に対し、夜間、外から鍵をかける(施錠する)という行為が行われていたのです。
なぜ「虐待」認定が遅れたのか?
驚くべきことに、当初の県の調査では、これを直ちに「虐待」とは認定しませんでした。
「やむを得ない理由がある」として、記録や計画の不備に対する指導に留まったのです。しかしその後、メディアの報道により大きな社会問題へと発展しました。
なぜ、行政ですら判断に迷うような状況が生まれたのでしょうか。

現場の論理「他害を防ぐには鍵しかなかった」
南海学園はもともと県立の施設であり、地域の中でも特に支援が難しい「強度行動障害」の方を多く受け入れていました。
現場の職員には、切実な理由がありました。
「夜間、職員が少ない時間帯に部屋から出て、他の利用者に暴力を振るってしまう」
「他の利用者の命を守るためには、鍵をかけるしかなかった」
つまり、職員にとって施錠は「悪意ある虐待」ではなく、「全体の安全を守るための必要な措置」として正当化されていたのです。
しかし、虐待防止法の観点から見れば、手続き(切迫性・非代替性・一時性の検討や記録)を欠いた漫然とした拘束は、人権侵害であり、明確な虐待です。
「昔からの慣習」と「新しい法律の基準」の間に、大きなズレが生じていました。
再生への道のり「監視」から「支援」へ
この事件の後、南海学園は閉鎖することなく、組織改革の道を選びました。
外部の専門家(社会福祉法人北摂杉の子会など)によるコンサルテーションを導入し、「鍵(監視)で管理する」方法から「専門的な支援」へと大きく舵を切ったのです。
支援が変われば、人も変わる
「どうやって抑え込むか」ではなく、「なぜ暴れるのか?」「どういう環境なら落ち着いて過ごせるか?」を徹底的に分析しました。
その結果、これまで「何もできない、暴れるだけ」と思われていた利用者が、環境調整によって活動に参加できるようになりました。
「自分たちの関わり方を変えれば、利用者さんは変わるんだ」
この成功体験こそが、職員の意識を根底から変え、虐待のない施設へと再生させたのです。
不祥事を防ぐ「3つの要素」と「正当化」の罠
虐待や不祥事は、特定の「悪い職員」だけが起こすものではありません。
組織心理学では、不正は以下の3要素が揃った時に起きると言われています。
- 動機(過重労働、ストレス、プレッシャー)
- 機会(閉鎖的な環境、チェック機能の欠如)
- 正当化(「安全のためだから仕方ない」「みんなやっている」)
特に怖いのが、3つ目の「正当化」です。
南海学園のケースも、「利用者を守るため」という正義感が、いつの間にか「人権侵害を許容する言い訳」にすり替わっていました。
「これこれこういう理由だから、拘束もやむを得ない」
そう言い訳をしたくなった時こそ、立ち止まってください。それは本当に、利用者の権利を守っていると言えるでしょうか?
まとめ:風通しの良い組織だけが、虐待を防げる
虐待を防ぐために必要なのは、監視カメラではありません。
「これって本当は良くないですよね?」「もっと違う方法ありませんか?」と、職員同士が言い合える「風通しの良い文化」です。
そして、古い慣習を打破するための「新しい支援技術」を学び続けることです。
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