【ニューロダイバーシティ】ASDは「障害」ではなく「脳のタイプ」。環境とのミスマッチを解消すれば、特性は“武器”になる

【ニューロダイバーシティ】ASDは「障害」ではなく「脳のタイプ」。環境とのミスマッチを解消すれば、特性は“武器”になる
「ASD(自閉スペクトラム症)の特性=ハンディキャップ」
もし、そう思い込んでいるとしたら、それは少しもったいない捉え方かもしれません。
彼らの持つ「裏表のない素直さ」や「コツコツと続ける勤勉さ」は、見方を変えれば素晴らしい才能です。
今回は、ASDを「障害」としてではなく「脳の個性」として捉える、世界的な潮流「ニューロダイバーシティ」について解説します。
この記事は、スペシャルラーニングのSL176から抜粋して作成しています。
講師は、元ハーバード大学医学部精神科・マクリーン病院の医師であり、精神科・児童精神科医師/博士(医学)であり、よこはま発達クリニックの副院長である宇野 洋太(うの ようた)先生です。

それは「障害」か「個性」か?すべては環境が決める
ASDの特性が良い形で出るか、悪い形で出るか。
その決定打となるのは「本人の努力」ではなく、「環境との相性(相互作用)」です。
[Image of social model of disability diagram]
- 環境とマッチしている時:
実直さやこだわりが、誰にも真似できない「魅力」や「実力」として発揮されます。 - 環境とミスマッチな時:
融通の利かなさが、「生きづらさ」や「障害」として現れます。
これを福祉用語で「障害の社会モデル」と呼びます。
「本人が変わるべき」と考えるのではなく、「社会(環境)側が彼らに合っていないことが障害を生んでいる」と考える視点です。
Disorder(障害)からCondition(状態)へ
この視点をさらに進めたのが、自閉症研究の権威であるサイモン・バロン=コーエン博士らが提唱する「ASC」という呼び方です。
- ASD (Autism Spectrum Disorder) = 障害・不調
- ASC (Autism Spectrum Condition) = 状態・体質
「Disorder(障害)」と言うと「治すべきネガティブなもの」という響きがありますが、「Condition(状態)」であれば、「単にそういうタイプである」というフラットな事実になります。
私たち支援者も、彼らを「治す対象」として見るのではなく、「ASDという脳のタイプを持つ人」として接することが大切です。
ニューロダイバーシティ(脳の多様性)という視点
近年、SDGsなどの文脈でもよく聞かれる「ニューロダイバーシティ(神経多様性)」。
これは、性別(ジェンダー)に多様性があるのと同じように、「脳の働きにも多様性があって当たり前だ」という考え方です。
ASDは「欠陥のある脳」ではなく、「多数派とは処理形式が違う脳」に過ぎません。
この多様性を認めた上で、私たちがすべきことは一つです。
「どうすれば、彼らの持っている力がポジティブに発揮できる環境を作れるか?」
これを本人と一緒に考え、試行錯誤していくことこそが、これからの支援のスタンダードになります。

まとめ:一人ひとりの「取扱説明書」を一緒に作ろう
「ASDだから、みんなこうすればいい」という正解はありません。
同じASDという診断名でも、一人ひとり特性も違えば、心地よい環境も違います。
「あなたはどういう時に力が発揮できる?」
「何が苦手で、どう工夫すれば楽になる?」
そう対話し、個別の環境調整を行うことが、彼らの人生を輝かせます。
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