導入事例

人手不足を乗り越え、学習と自己研鑽の時間を創出。専門性の高い研修動画で支援の質が向上

障害者支援施設、グループホーム、通所介護、放課後デイサービス、相談事業所の5事業所を熊本県熊本市内で展開している。
障がい者を持つ家族の思いを元に法人が設立され、安心して暮らせる入所施設から事業がはじまった。
法人理念は「『安全、安心、安らぎ』の福祉社会創造へチャレンジ!」。
職員数は約130名。スペシャル ラーニングは全職員で利用している。

−まずは導入前に感じていた課題を教えてください。


当法人以外でも同様の課題を持たれる方は多いかと思いますが、現場は深刻な人手不足により、日々の支援に追われてしまいがちです。

そうなると学習や研鑽に時間を割くことがむずかしくなってきます。

それでも利用者さんにいい支援を提供するために、私たちとしてはなんとかして学習の時間を増やしたいと常々感じていました。

また、福祉系の学校を卒業した方だけでなく、未経験の方の入職も増えてきたため、どうしても個々人のスキルに差が出てきました。

障がい福祉に対する方向性や捉え方には正解がないので、学習を通じて意見交換しながら、共通認識を揃えていくことができるといいなと思っていました。


−研修に関する課題はありましたか?


外部研修に参加する職員はいたものの、どうしても受けた研修の内容を持ち帰って全員で共有することがむずかしかったです。

せっかくいいものを吸収して帰ってくるので、できれば全員で学びを共有したいですが、直接受けた人と同じ理解度にはできません。

全員が同じ研修を受けるのがベストなのですが、シフトなどを考えると多人数を外部研修に参加させるようなチームでの学びは現実的ではないです。

今年度は熊本で全国大会があったのでできるだけ多くの職員への参加を促しましたが、やむを得ずいくつかの事業所自体をお休みすることにしました。

法人規模が大きくなるにつれ、こういった課題がより明確化されてきた背景がありました。


−こういった課題はずっと感じられていたものでしょうか?


ここ5〜6年、働き方改革などで労働環境をよくする動きが一般的になりましたが、職員の業務負担の軽減ばかりに目が向いているように感じていたんですよね。

もちろんそれも大事なことなのですが、より専門的で良い支援をするために、自己研鑽の時間を確保したうえで、負担を増やすことなく研修を充実させる方法がないかと思案していました。

−スペシャル ラーニングはどのようにしてご存知になりましたか?


実は以前から動画視聴による研修には取り組んでいたんですよね。

みんなでYouTubeや厚生労働省の動画を見てたのですが、情報が古かったり、制度に関する情報が多く、実際の支援に活かせるイメージがあまりなかったです。

当法人の職員が外部研修に参加した際に、スペシャル ラーニングの存在を知って、当法人でも取り組めないかと提案がありました。

「これなら課題を解決できそう!」と思い、早速詳細を調べてお話を伺いました。


−スペシャル ラーニングを初めて知った時にはどうお感じになられましたか?


何よりも障がい福祉に特化していて、専門性が高いことに感銘を受けました。

その上動画の数もかなり多く、1つ1つのコンテンツが数分と短いこともあり、これなら視聴がしやすい!と思いました。


−法人内ではどのように検討を進めていかれましたか?


これはいいと感じたので、すぐに管理者会議で共有し、全会一致で導入を進めることにしました。

ただ利用料をどうやって工面するかというか、という点は悩みましたね。

どうしても導入を進めたかったので、限られた予算の中で進めていくため、求人費用の見直しを行うことにしました。

求人活動も大事ですが、スペシャル ラーニングを導入し、職員のモチベーションアップ・キャリアアップに取り組み離職率を下げれば、より効率よく求人を行えるようになるのでは?と思ったんです。

また、調べたところちょうど労働局の助成金があったことも助かりました。

リーン オン ミーさんからお試しをさせていただいたのもよかったです。

この期間は管理職を中心に視聴を進めましたが、実際に良さを体感できたのでそこからとてもスムーズでしたよ。 おかげで意思決定から3ヶ月ほどで導入まで進みましたね。


−管理職の方だけでなく、一般の職員も含めたスタートはどのように進めましたか?


「まずはとにかく1回ログインしてください!」と伝えました。ログインさえすればいいものだと思ってもらえる自信があったんですよね。

職員の年齢層も20〜70代とかなり幅広いため、どうしてもログインの概念の理解がむずかしい方もいらっしゃいます。

そういった方は30名ほどいたのですが、ログイン率を上げるために丁寧にサポートしました。スマホ端末の画面上にショートカットをつくったり、スマホに搭載されたパスワード管理ツールを活用するとログインしやすいということが分かりました。

そもそもスマホを持っていない方や操作が不得手な方もいるので、事業所内での集合研修も開催しているんですよ。

集まってパソコンで同時視聴研修を受けて、スペシャル ラーニングのレポート機能で感想を送ってもらっています。

どうしても入力ができない方は、紙に書いてもらったものを別の人が打ち込むという対応をしていますね。


−スペシャル ラーニングの研修はどのように視聴されていますか?


そうですね、個人の端末で視聴してもらっています。

全事業所にフリーWiFiがありますので、個人の通信費の負担が増えないようにしています。

まずは動画の内容が身近な内容であることを感じてもらえるように、日常の支援の中の困りごとなどの動画を見てもらいました。

自分に関わりがあるものから見ることで、スペシャル ラーニングで学んだ内容が、日常の支援の成果につながりやすいと予想していました。

−現場にも導入を進めてみて、反応はいかがでしたか?


まずは職員に伝える時に、導入の目的を伝えました。

当法人としては、「自己啓発のツール」そして「共有情報のツール」として導入をしています。 スペシャル ラーニングには研修を見るだけでなく、研修計画を立てる機能もあります。

計画を元にレポートを書いてほしいことも伝えたんですよね。

レポートといっても、動画を見て感じたことや疑問などを短い文での記入です。

「レポートを書かないといけない」となると、ネガティブな感情を持ちがちになるので気を付けました。

実際にやってみたところ、自己学習については大きな差が出てきました。

というのもよく視聴する方だと、1ヶ月の間に400〜500本も視聴します。

意外かも知れませんが、当法人ではパート職員の視聴率がかなり高いんですよ。

経験が浅い方からの反応がとてもいいです。

おそらく知らないことが多いからこそ、日常の支援の中の「なぜ?」に答えが見つかり、学んでいく楽しさがあるんだと思います。

個別の支援方法は日常的な支援の中で伝えていたので、教わる機会が多かったようです。

一方で、きちんと形式的に整理した障がい特性自体に対しては、日常の支援の中では伝えられてなかったのだと改めて感じました。

概論を知ったからこそ、こういう時にはこう対応すべきだったんだ、など支援に対しての工夫が生まれるようになりました。


−実際の支援が変わると、視聴のモチベーションにもつながりそうですね。


導入から1年経っていないんですが、各事業所での動画研修作成が進み、動画を見るという意識はできてきたと感じています。

自分の支援に直結していると感じるほど視聴のモチベーションは高いと思いますね。

困りごとがあった時に、「これを見ればいいよ」という逆引きとして使えるのもいいですね。

すぐに支援に活かせるからこそ、役に立っていると感じられるんです。

ちょうど先月の職員会議の際に「入所施設での運動にどう取り組むべきか?」という課題があったので、その場で視聴してもらいました。

コンテンツ数が多いので、課題に対して、解決策を見つけることができやすいのは良いですね。


−研修を通じて支援にも変化はありますか?


特に、当法人での業務の中で初めて障がいを持たれているご利用者さんへ接することになった職員の方の接し方や声のかけ方が明らかに変わってきたと聞いています。

個人個人の感性や関係性での関わりではなく、障がい特性を理解したうえで接するようになったからではないかと思います。

また先ほどお伝えした集合研修もとてもいい場になっています。

視聴後にすぐその場でみんなで意見交換がはじまるので、思いを共有したり、他職員との受け取り方の違いを感じたりと、自分の支援を見直すコミュニケーションがすぐに行えているのだと思います。

会議の中で視聴してみるのもいいと考えており、今後はぜひ試してみたいです。


−想定外だった導入効果はありますか?


改めて制度としての障がい福祉を学んだことで、自分たちが行っているサービスのありかたを整理できたように感じます。

「生活介護」や「施設入所」など、日頃の業務の中でよく耳にする言葉ですが、どういった背景で設立された制度なのか、なんの目的を持って運営されているものかなどを知ることで、サービスの本質を理解できた気がします。


−事例だけでなく、概論など幅広くご視聴いただいていますね。


そうですね、法人内での異動がありますが、その度に制度やそのサービスを利用される方の特性など基本的な内容を学ぶことができます。

支援内容が大きく変わる際も、サービス概論を効率よく学ぶことができます。

提供する目的を知っておくことで、個別の支援にも差が出てくるのではないでしょうか。

−共有情報としてのツールとしては役に立っていますでしょうか?


導入当初は1ヶ月ごとに各事業所ごとに見るべき研修の計画を立てていました。

法人として決めてしまうと当事者意識が薄れますし、本当に必要なものだけを見てほしかったので、各事業所で自主的に計画を立ててもらいました。

やってみた結果、やはり事業所ごとにテーマは全然違いました。各事業所内での共有知識として活用できたのではないかと思います。

半年間はこの方法で運用していたんですが、実は課題も出てきました。

テーマ別の研修設定が1ヶ月だとスパンが短いという声があがる事業所もありました。

研修計画で扱うコンテンツの数や、研修計画動画のトータル時間など、それぞれの事業所に合わせて計画するように変更しています。

動画視聴期間を2ヶ月にするなど、各事業所の個性を出してもらうしています。


−レポートの活用はいかがでしょうか?


レポートの提出先はサービス管理責任者なのですが、事業所ごとに差が出るんですよね。

数人しかいない事業所もあれば、数十人いる事業所もあるので、負担に大きな差が出てしまいます。

提出いただいたレポートに関してはサビ管から返答をするようにしているんですが、好奇心をくすぐるような返答を心がけてほしいと依頼しています。

やっぱりフィードバックが素っ気ないものだと、書く気がなくなっちゃいますよね。

たいへんではありますが、せっかく導入しているツールなので、目一杯成果につなげたいと考えています。


−視聴時間がとても多い方はどういった工夫をしているのでしょうか?


実は通勤時間にラジオのように流し聞きをしていたようなんですよね。

とにかく数を聞いて、より詳しく知りたいことは動画として改めて視聴しているようです。

幅広く知識が増えるだけでなく、複数回視聴すれば学びも深まります。とてもいい取り組みだと思いますね。

元々いろんなことを知りたいという向上心のある方だったので、いいツールになっていると感じます。


−藪下さんの推しコンテンツを教えてください。


「中山先生シリーズ」ですね。

支援を行っていく中で、みんなこういった悩みを持っているんだという共感を持てる内容だと思います。

支援に悩み孤立感を感じることもなくなると思うんです。

これは私自身も感じていますし、見るたびにとても勇気づけられています。

なんというか、一番身近に感じられるコンテンツですね。

毎月更新されるニュースコンテンツも好きですよ。 最新の情報を知ることができますし、視野が広がりますね。

あ、あとチームマネジメントもですね! 必要としている管理職の方も多いのではないでしょうか?支援も大事ですが、チームワークの形成もたいへん重要なことだと思います。

各職種に対して必要なコンテンツが網羅されていて、驚くばかりです。

−先輩ユーザーとしてアドバイスはありますか?


スペシャル ラーニングに限らず、新しいものを導入するには、一人で進めることはできません。

できるだけ同じ思いを持った仲間を集めてチームをつくって進めるのが大事ではないでしょうか。

推進者は導入を進める中で色んな問題を解決していくことになります。その中で孤立感を感じることも多いのではないでしょうか。

役割を分担し、導入を進める中で色んな意見を共有してチームで進めることが重要です。

各事業の研修委員に役割を持ってもらい、研修計画を立ててもらうことで、それぞれの事業所の特色が活かされた内容が生まれてきたと感じています。


−今後の展望はありますか?


各事業所ごとに必要なコンテンツを設定していますが、今後は法人共通の階層別研修にも取り組みたいです。

やはり未経験で入職した方、すでに経験のある方、リーダーやサービス管理責任者など立場によって必要な知識は異なります。

必要なタイミングで必要なコンテンツを学習することができ、それが法人内で統一されている内容であれば、同じ方向を向きながら、より高い支援を目指していけると思います。

こういった階層ごとに見るべきコンテンツをまとめて研修計画が立てられるといいですよね。

「この事業所のこういう人は1年かけてこれを見てください」といった流れをつくりたいです。

研修は見ただけでは意味がないので、しっかりと現場の利用者さんの支援に活かす必要があります。

動画の内容と実際のご利用者様支援を結び付けていく取り組みが重要ですね。

視聴方法や意見交換の方法なども各事業所ごとにより良い方法を検討していきたいと考えています。


−リーン オン ミーに対する期待はありますか?


前回開催いただいた、他法人の推進者の方との交流会は継続していただきたいです。

先ほどお話しした通り、やはり推進者は孤独になりがちなので、本当にこういった機会は貴重で助かります。

また次年度は報酬改定の見直しが行われ、障がい福祉サービスは大きく動く年ですので、報酬改定についての最新情報が知れるコンテンツが増えると、とてもうれしいです。

取り入れてからの1年の間にコンテンツが増えてスペシャル ラーニングの進化を感じています。

こういった点でも日々楽しく利用できていますし、ユーザーの声を拾ってくれているのがとてもうれしいです。

先日希望したハラスメントに関するコンテンツも収録されるとのことで、非常に楽しみにしています。 一緒に成長したいと思っていますので、今後ともぜひともお願いします!

今回の取材を通じて取り組みのふりかえりもできたので、よければ毎年お話させてください。

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